後期高齢者医療制度設立までの経緯
〜安定した医療制度を目指して〜
昭和58年に国民の老後の健康保持と適切な医療確保のため設立された老人保健制度は、国民健康保険、社会保険及び共済組合等の各種健康保険からの拠出金と、国・県・市町村からの公費負担を財源とし、市町村が75歳以上(平成14年9月までは70歳以上)の人に医療給付を行ってきました。
設立当初、高齢者人口の割合は少なく、現役世代が費用を負担することで、高齢者に十分な医療を提供することができましたが、現在では年齢別の人口構成が大きく変わり高齢者の割合が増え、医療費も年々増加し、老人保健への拠出金が国保・各種健康保険の財政を圧迫しています。
平成14年には、老人保健制度の対象者を70歳から75歳に引き上げて、老人保健制度にかかる医療費を減らす方法をとりましたが、今後ますます増えることが予想される医療費を賄うには十分ではありません。
これからも高齢者に十分な医療を提供するためには、医療制度全般を見直す必要があります。
市町村が運営する老人保健制度は、運営のための費用をだれがどれだけ負担しているのか明確ではありません。このため、自ら保険料を集め医療給付を行う国保・各種健康保険に比べると、医療費負担に対する意識が低くなりがちだと言われています。
また、老人保健制度の対象者は、国民健康保険、社会保険及び共済組合等の各種健康保険に加入して保険料を支払っていますが、働く人の扶養になっている人は保険料の負担がなく、同じ老人保健制度の対象者でも費用の負担は異なります。
以上の状況から平成20年4月以降は、75歳以上の人から平等に保険料を徴収し、医療給付を行う独立した医療制度をつくることにより、運営のための費用負担をはっきりさせて、将来にわたり安定した医療制度を目指すことになりました。
後期高齢者医療制度の財源の1割は、75歳以上の人の支払う保険料です。医療費が膨らめば、保険料の負担も大きくなります。
市町村などの小さな地域では財政基盤がぜい弱で、また、国全体を運営単位にしたのでは、その地域の実情が保険運営に反映されないなどの課題があります。
そこで、都道府県を運営単位とすることで財政の安定化を図り、保険料徴収や各種申請等の窓口業務については、日ごろ住民に接している市町村を通じ、その地域の実情にあわせて行えるように、都道府県ごとに、すべての市町村が加入する後期高齢者医療広域連合がつくられ、制度を運営していくこととなりました。
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